iDeCo や小規模企業共済を受給する際の税金をなるべく抑える

節税
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フリーランスになって節税対策として、iDeCo や小規模企業共済に積み立てている人は多いのかと思います。

それぞれ最大の積み立てをした場合、年間の所得控除額が160万円程になるので、めちゃくちゃ節税効果が高いです。

でも、受給する際にも税金が掛かることはご存知でしょうか?

筆者もあまり考えずに積み立てをしておりましたが、良い機会なのでちゃんと調べてみましたので、シェアしたい思います。

この記事で分かること
  • iDeCo や小規模企業共済の受け取り方が分かる
  • どのように受け取れば税金を抑えられるかが分かる
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結論

いきなり結論から申し上げます。

それは、退職所得控除をフルに活用するということです。

ピンと来ない方もいらっしゃると思いますので、説明していきます。

受給開始時期

そもそも、いつどのようなタイミングで受け取れるかですが以下のようになっております。

iDeCo の場合

  • 加入期間が10年以上であれば60歳から受給することができる
  • 加入期間に応じて受給開始が遅れるが70歳までには受給が開始される

小規模企業共済の場合

  • 個人事業を廃業した場合
  • 65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ場合

受給方法

受給方法については、いくつかありますが、ここでは老齢給付について考えます。

老齢給付についてはいくつか受け取り方があります。

  • 年金として受け取る
  • 一時金として受け取る
  • 上記2つを併用して受け取る

それぞれ説明していきます。

年金として受け取る

年金として受け取るとは、毎月一定額を受け取る方法です。

この場合は雑所得となり課税対象となりますが公的年金等控除を適用することができます。

公的年金等控除とは

  • 65歳未満の場合、年金での所得から60万円控除される
  • 65歳以上の場合、年金での所得から110万円控除される
  • ただし、年金受給額や年金以外の所得によって変動する

一時金として受け取る

一時金として受け取るとは、一括で受け取ることです。

この場合は退職所得となり課税対象となりますが退職所得控除を適用することができます。

退職所得控除とは

  • 勤続年数が20年未満の場合、40万円×勤続年数(最低80万円)
  • 勤続年数が20年以上の場合、800万円+70万円×(勤続年数ー20年)
  • ※1年未満の端数がある場合は1年として計上する
  • 例)勤続年数が30年の場合、800万円+70万円×10年=1,500万円となる

そして、退職所得控除を用いて退職所得を算出するのですが

退職所得=(退職金ー退職所得控除額)÷2

となっており、最後に2で割っているんですね。

退職所得控除ももちろん節税においては有利なのですが、さらに÷2をしているので退職金は節税効果が高いと言われています。

フリーランスの場合、勤続年数は iDeCo 加入年数となる

で、ここから重要なのですが

  • iDeCo を一時金として受け取る場合は、過去15年(前年以前14年)以内に受け取った退職一時金が全て合算される
  • iDeCo 以外の退職一時金は過去5年(前年以前4年)以内が合算対象となる

つまり、2種類の退職一時金を同時に受け取ってしまうと、退職所得控除が1種類分しか適用されません。

さらに、iDeCo 以外(企業のや小規模企業共済等)の退職一時金を先に受け取った場合、iDeCo の退職一時金を受け取るには15年経ってからじゃないと、退職所得控除が2回分使えないということです。

なので、退職一時金を受け取るタイミングは以下のようにすると良いです。

  • iDeCo の退職一時金を60歳で受け取る
  • iDeCo 以外の退職一時金を65歳で受け取る

併用することもできる

一時金としていくらか受け取り、余った金額分を年金として受け取ることもできます。

したがって、退職所得控除額に収まる範囲内で一時金として受け取り、はみ出した分は年金として受け取るのが基本的には一番節税効果が高いと思われます。

基本的にはと記載している部分ついては、公的年金(基礎年金+厚生年金)の受け取り状況にもよるからです。

例えば、65歳で公的年金を年間110万円受け取っている場合は、公的年金だけで公的年金等控除額を全て使い切ってしまいます。

その場合、iDeCo 等の年金が年間100万円くらいあったとすると、その100万円については全て課税所得になってしまいます。

したがって、この場合は iDeCo の受け取りは全て一時金として受け取った方が節税効果が高いと言えます。(退職所得は最終的に÷2されるため)

ここでは基礎控除や社会保険料控除は考慮していないので、年金以外の所得(給与所得や事業所得等)がない場合は、さらに控除額が増えます。

シミュレーション

30歳でフリーランスエンジニアになり、iDeCoに30,000円、小規模企業共済に40,000円を30年間積み立てている場合を考えてみます。

iDeCo(60歳で受け取り開始)

受取額は約2,000万円になります。(利回り4%で計算)

※計算したサイトはこちら

iDeCo の加入期間が30年なので、1,500万円まで退職所得控除されます。

800万円+70万円×(30年ー20年)=1,500万円

2,000万円全額を一時金として受け取った場合

  1. (2,000万円ー1,500万円)÷2=250万円が退職所得となる
  2. 250万円が課税所得となり、税額が計算される

1,500万円を一時金として受け取った場合

  1. 退職所得は0円
  2. 残りの500万円は年金として受給する
  3. 公的年金を65歳で受け取るならば iDeCo での年金だけ考えれば良いので
  4. 5年間で受け取り終える想定ならば、年間100万円受け取ることになる
  5. 公的年金等控除額60万円を適用することができるので、40万円が課税所得になる
  6. 40万円×5年間=200万円が課税所得の合計となる

1,500万円を一時金として受け取った場合の方が50万円分課税所得を少なくすることができました。

ここでは基礎控除や社会保険料控除は考慮していないので、年金以外の所得(給与所得や事業所得等)がない場合は、さらに控除額が増えます。

小規模企業共済(65歳で受け取り開始)

受取額は約1,700万円になります。

※計算したサイトはこちら

小規模企業共済の加入期間が30年なので、1,500万円まで退職所得控除されます。

800万円+70万円×(30年ー20年)=1,500万円

1,700万円全額を一時金として受け取った場合

  1. (1,700万円ー1,500万円)÷2=100万円が退職所得となる
  2. 100万円が課税所得となり、税額が計算される

1,500万円を一時金として受け取った場合

  1. 退職所得は0円
  2. 残りの200万円は年金として受給する
  3. 公的年金を65歳で受け取るならば公的年金と小規模企業共済で受け取る年金を考慮しなければならない
  4. 仮に公的年金が110万円だとすると、これだけで公的年金等控除額を越えてしまう
    1. 公的年金等控除額110万円
    2. 公的年金の平均受給額は月額約14万円(年額約170万円)
  5. 小規模企業共済の年金受け取り分の200万円が課税所得の合計となる

1,700万円全額を一時金として受け取った場合の方が100万円分課税所得を少なくすることができました。

ここでは基礎控除や社会保険料控除は考慮していないので、年金以外の所得(給与所得や事業所得等)がない場合は、さらに控除額が増えます。

まとめ

もちろん、金額や勤続年数によって変わってくるので、ご自身のケースに合わせる必要がありますが、参考になった部分はあるかと思います。

iDeCo や小規模企業共済の受け取り時に、何も知識がないと焦って損する受け取り方は選択してしまうこともあるかと思います。

事前に対策しておくことで、損する可能性がグッと抑えられると思いますので、是非ご自身のケースについて考えてみてください。

以上、ご参考になれば幸いです。

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